このページの表示が認められていません

アバンで台湾のヘッドリースを成功させた石田香凛(cv.井口裕香)に張(チャン)(cv.吉野裕行)が怒る場面．

「台湾のヘッドリース成功！」

「やーん．もう最高！」
「香凛！いい加減にするんだ！今，君の国では大変なことが起こっているんだぞ！」

「だから，チャンスなんじゃない！」
「大勢の人が死んでいるんだ！」
「関係ないわよ！」
「香凛．．．(NO CARRIER)」
「ん？」
「張(チャン)のアクセス権を制限した．彼の考えは君たちにとって危険だ．」

「お利口ね．メデューサ．」
「甘いこと言ってちゃ，お金儲けなんてできないんだから．」

これを観ながら数年前のことをふと思い出しました．
イスラエルでパレスチナ人過激派の自爆テロが起こる度に，イスラエルと仲の良い米国のドルが売られることが続いたことがありました．ロイター端末でニュースが流れるとトレーダーは我先にドルを売って儲けるわけです．下がるのが分かっているのですから，人より早く売るほど儲けも大きい．
でも，それも何度も繰り返すと下げ幅が小さくなり，終いには材料視されなくなる．

そんな時，掲示板で誰かが呟きまました．

自爆テロで死んだ犯人や，運悪く巻き込まれて死んだ人達，みんなそれまでに何十年かの人生があっただろう．それが前ぶれ無く強制終了させられてしまう．その人達には家族，友人，恋人がいただろうに．
でも，自爆テロで何十人が死んだというニュースになった途端，それは文字の羅列に変換され，端末のこちら側では，ただの金儲けの材料にしかならない．それも，何度も繰り返されると市場の反応が薄くなって金儲けに使えない，いわば価値のないニュースとして見捨てられる．それって，死んだ人の命が安くなってきてるような感じがしてならないよな．

とかいうものでした．現実世界では石田香凛みたいな人間でないと儲けられません．

この作品では北条凪子(cv.京田尚子)の資金協力によって張(チャン)側が勝ち，石田ファイナンスが倒産します．架空の物語だから正義が勝つという筋書きなんでしょうけど，プロの投資家なら普通は損切るなり，一旦，市場から手を引くなりするから資金が底をつくことは無いんですけどね．